しかと見届けよ
其の姿を
振り返るな
抗 え
西暦20XXX年、ネオロンドン中央小学校にて......
「なんだ!ジェームズこんなところにいたのか!」
「ジョン・スミスか...何か用か?」
ネオロンドンの中央に位置するネオロンドン中央小学校では、立派なネオロンドン市民を養成するための教育が行われていた......
生徒の多くは真面目で向上心に溢れる優等生だったが、
【才気あふるる異端児】《ジェームズ・シガレット》はそうではなかっ
た......!!
「先生が怒ってたぜ、『ジェームズ・シガレットの奴はまた欠席なのか!!!!』ってな!!!!!!」
「ふん、授業なんてくだらない......たとえるなら、僕にとっては火中の栗を拾うようなものだ......ここでこうして"本"を読んでいる方が、よっぽどためになるというものさ」
「それで……ジェームズを呼んで来いって校長に言われたんだ!、何やら大事な話があるらしいぜ!!」
―――――面倒だな……と思いつつも、ジェームズは素直に呼び出しに応じることにした。この判断が、未来を大きく変えることになるとは、まだ誰も知らないのであった......
西暦20XXX年、ネオロンドン小学校校長室にて......
――――――――――ネオロンドン中央小学校校長室――――――――――
「ふむ、ジェームズ君...ようやく来てくれたようだね」
「来るつもりはなかったのですが...僕の第六感がここに来るよう告げたので......それで、どういった要件でしょうか......?」
「まあまずは座りたまえ…話はそれからでも遅くはないだろう…?」
ジェームズは着席すると、テーヴルの上のブラック・コーヒーに口を付けた。
ジェームズは何よりも本を愛していたが、その次に好きなものがこのブラック・コーヒーだったのだ……
「本題に入ろうか…ジェームズ君、君は……まもなく退学処分となる!!!」
「!!!それは本当ですか!!!???」
ジェームズはあまりの驚きに言葉を失っていた・・・
「ああ……君の度重なる欠席に非難が集まってね……私としてもこれ以上は庇いきれないのだ……」
【才気あふるる異端児】と呼ばれる《ジェームズ・シガレット》でさえも、この状況にはただ俯いて顔を歪めて歯を食いしばって苦悶する他なかった......
「そんな……!!!!!!!何とか退学せずに済む方法はないんですか!!!!?????」
「実は1つだけある………………この学校の旧校舎のことは知っているね……?
君はそこへ行って……卒業証書を取って来るのだ!!!」
「............なるほど......"退学処分"になる前に......"卒業"してしまえばいいという訳ですね......」
「その通りだ……だが時間がないのだ!予定では君たちが退学処分となるまで……あと3時間しかない!」
「3時間ですか......これ以上ないって程厳しい状況......四面楚歌......五里霧中......背水の陣......」
しかしそんな状況の中でも、ジェームズは不敵な笑みを浮かべていた……
その度量こそが、彼―――――《ジェームズ・シガレット》―――――が、
【才気あふるる異端児】と呼ばれる所以なのかもしれない……
ジェームズは立ち上がると、テーヴルの上のブラック・コーヒーを飲み干した。
「心得ました..................3時間後......Ⅵ時までに必ず、"卒業証書"を持ち帰ってみせますよ......」
かくして幕は切って落とされた……
―――ジェームズは欠席の業を―――
―――ジョン・スミスは給食費未納の罪を―――
贖いの旅が、今、はじまる。